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事務所通信

 

あなたの会社の必要売上高はいくら? 2005年9月12日
税理士 鈴木 徹
 

-この売上高を達成できなければ人件費がなくなってしまいます-

 

1.必要売上高

(1)定義
  企業が現在かつ将来にわたって続けるためのお金を確保するための必要最低額の売上高
(2)基本的な求め方
  会社経営者が企業成長のために必要な「目標利益((注1))」にもとづいて決定する
(3)具体的な求め方
 
目標利益…(1) (注1)
必要固定費…(2) 人件費+維持費+販売費+投入時間
加工高(粗利益)
{(1)+(2)} …(3)
単価の決定はおおざっぱに(数量不明なら後述するTKC経営指標により加工高比率参考のうえ売上高を決定する)
売上単価…(4)
変動単価…(5)
1個当たりの加工高
{(4)-(5)}…(6)
目標販売数量
{(3)÷(6)}…(7)
何個売るかが目標
必要売上高
{(4)×(7)}…(8)
 
変動費
{(5)×(7)}…(9)
 

ステップ1 その年の「目標利益」を決定する
ステップ2 その次に「目標利益」を達成するためにはどれだけの「固定費((注2))」を投入していくかを人件費、維持費、販売戦略費の順に決定する
ステップ3 「目標利益」+「固定費」がその会社の「必要加工高(粗利益)」となる
ステップ4 「必要加工高(粗利益)」が決まれば販売すべき商品等の単価を決定する
ステップ5 商品等の「変動単価」を決定する
ステップ6 1人当たりの加工高(粗利益)を求める
ステップ7 その会社の1年間に必要な「目標販売数量」が決定する
ステップ8 「目標販売数量」に(4)の売上単価を掛ければ「必要売上高((注3))」が決定する
ステップ9 (5)の「変動単価」に(7)の「目標販売数量」を掛ければ「変動費((注4))」の合計となる

(注1)

(注2)
固定費 売上に関わらず、毎月ほぼ一定の額で必要となる費用のことです。例えば、「人件費」の大部分、減価償却費、水道光熱費、店舗やオフィスの賃料、支払利息「維持費」販売を促進するための広告費、接待費「販売戦略費」などがあります。

(注3)
必要売上高=商品等単価×販売数量

(注4)
変動費 売上高の大きさに比例して金額が変わる費用のことです。例えば製品の仕入費用です。仕入製品の数に比例して変動するので、売上高が2倍になればその仕入費用も2倍になります。その他の例としては原材料費、外注加工費、販売運賃などがあります。
 

2.デフレ時代の戦略的必要売上高

 

(1)具体的な求め方
ステップ1 変動費の見直しを行う(再検討)
ルートの見直し、金額のチェック、在庫管理、インターネット利用、支払日変更、原価管理、削減、早期契約、入替、合い見積
ステップ2 維持費の見直しを行う(同じなら安い方がいい)
値下げ、移転、共同購入、合い見積もり、リース解約、水道光熱費、ガソリン、電話代の節約、損保、生保の見直し
ステップ3 販売費の効果を測定しなおす
新聞、チラシ、屋外、はがき、テレビ、電話、インターネット、「よい口コミ」と「リピーター」づくり
「あなたの会社の販売費が原価から損失に変わっていく」
ステップ4 人件費の見直しを行う、特に役員人件費の見直し
現物給与にならない非課税人件費を最大に利用する、人件費の見直しは役員人件費から行う
ステップ5 従業員の生活費の再認識を全員で行う(節約)
アパートの社宅化の検討、生保、損保の内容検討、住宅ローン借り換えの検討、個人所有車両の借り上げ検討
ステップ6 その年度の人件費を決定する(年俸制の導入)
実質手取額の減少がなく、出ていくお金を少なくする
ステップ7 経営指標を参考にして、適正労働分配率にもとづきその年度の必要最小限の必要売上高を決定する

(注)原価の見直し以外に借入金の返済期間の見直しも行うこと

 

(2)具体例
[資本金1,000万円、サービス業、従業員10名、借入金返済額(年間)800万円、減価償却費(年間)200万円]

(1) ステップ1〜ステップ5は完了したものとみなす。(借入返済延長も)
(2) 人件費の決定
1人年額500万円×10人=5,000万円(会社負担の社会保険料等も含む)
(3) 労働分配率にもとづいた必要加工高(粗利益)額
(4) 加工高(粗利益)比率にもとづいた必要売上高額
黒字企業中位グループの比率
項目区分 加工高(粗利益)比率 労働分配率
全産業 54.1% 65.1%
建設業 47.4% 66.8%
製造業 57.1% 64.1%
卸売業 25.3% 56.5%
小売業 35.6% 58.3%
飲食業 69.1% 54.6%
サービス業 74.5% 63.3%

 

 

(3)さいごに

 必要売上高を達成するには「入ってくるお金を増やして」「出ていく無駄なお金を減らすこと」。既存のお客様をはなさずに新しいお客様をふやすことのくりかえしをすることです。しかも、出ていく無駄なお金を減らすことが重要な課題となります。上記の例で言うと、適正労働分配率の基づいて必要売上高10,603万円をいかに達成していくかが今後の課題となります。業種が異なると加工高(粗利益)比率も労働分配率も異なってきます。しかしながら、黒字企業中位グループの比率を達成できないのであれば、「続ける勇気」より「やめる勇気」を選択すべきとも考えられます。また、次の必要利益はかならず残さなければなりません。

 上記(2)の具体例で言えば1,000万円が必要利益となります。ただ、逆の見方をすると、上記のサービス業であっても人件費には5,000万円使えるし、残った2,899万円はもっと自由に使えるし、売上高に変動する原価でさえ(1−74.5%)2,704万円も使えるんです。世の中をもっと「夢」をもって追求すればいいのです。

 

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